2014年10月4日土曜日

サマースクールを終えて

TOEFLのことを書こうと思ったのだが、遅々として筆が進まないため、いったん保留。 この夏の振り返りも兼ねてPrep(いわゆるサマースクール)について書こうかと。

IR/PSでは自前でSummer Prepと呼ばれるサマースクールを設置していて、人によっては合格の条件がPrepの受験だったりする。 

僕の場合てっきり全部受けるものだと思っていたら、一向にアドミッションから連絡が来ないので問い合わせたところ「受けなくてOK!その代わりI-20の開始日付は9月からだからよろしく!」というメールが届く。。 これどういうことかというと、F1ビザの場合、開始日の30日以前にはアメリカに入国できないので、おのずとアメリカ到着日が遅れるということなのです。(交渉の結果もどうにもならず、結局最短入国日の8月19日に入国し、ESLとAnalitycal Writingだけ受けることに。)

■Prepの構成
PrepはESL(英語)、ECON(経済学)、QM(定量分析)、Analitical Writting(論文書き方講座)で構成され、8月中旬から9月中旬までの約1か月間実施される。(UCはBerkeley以外4学期制なので、秋学期の始まりが9月末。今年は例外的に10月1週目開始)

■ESL
【概要】
・英語が母国語でない学生向けの授業。一応7月からやってるESL1と8月からのESL2に分かれる。大半の学生がESL2から参加する模様。お値段はそれぞれ約$1,500
【参加者】
・参加者の大半がアジア人。ちなみに僕のコースは、中国人、韓国人、日本人、カザフスタン人、キューバ人(!!)で構成
【講師】
・外国人向けの英語の授業を長年やっているナンシー。筒抜けに明るく、この人を見ていると「生まれてこのかた悩みなんかないんじゃないか」と思えてくるお方。ものすごくお喋り。
・アジアのトピックに詳しいので、アジア人の「日本では・・・、中国では・・・」といったその場の議論を一気に変えてしまう可能性のある発言にも難なく対応。(日本の通勤ラッシュの話で、自身が国分寺で降りれなかった話をしてくれたが、アメリカ人が「コクブンジ」、「チューオーセン」と連呼する姿にクラスの日本人は爆笑)
【授業内容】
・最初の方は文法の解説、アメリカの文化の解説、熟語の解説、リーディング、リスニング、クラスメイトとのディスカッション、授業後の英作文が中心
・後半はグループに分かれ、グループワーク/ペーパー作成/プレゼンを実施。僕のクラスのテーマは「女性の社会進出」
【感想】
・こう書くとものすごくバランスとれているように思うのだが、文法は日本人であれば受験でやったことの復習だし、授業の大半は先生がバーッと喋ってることが多く、若干消化不良。個人的にはもう少しディスカッションの時間を確保してほしかった。。
・グループワークでは仕事で使ってた論点の整理の仕方や、仮説思考、ファシリテーション、紙書のスキルが英語になっても通用することがわかり一安心。ただレベル/内容ともに比較的簡単だったことは否めないので、秋学期に直結するようなテーマでのワークがよかった。。
・厳しく書きましたが、インタラクティブな授業なので、多くの友人ができたことは収穫

■ECON
※受講免除のため詳細は割愛
※受講者によると、ミクロ経済の範囲を約1か月(週の半分はTAセッションだったりするので実質2週間)で一気に終わらせるとのこと
※ちなみに今年の講師は「貧困の終焉」で有名なジェフェリー・サックスの一番弟子であるゴードンというハーバード出身の方

■QM
※受講免除のため詳細は割愛
※受講者によると統計の基礎的な部分やExcelの使い方を扱うとのこと
※今年の講師は香港出身(?)の方

■AW
【概要】
・毎週リーディングとライティングがあり、Policyメモなどの書き方を学ぶ。お値段は$10ドル(!!)
【参加者】
・MAS(一年間のコース)向けということもあり、シニアな方が多い。Prepの中では結構時間を取られるので、若手の中国人の子などは「意味ないよー」と言い残しドロップしてる子もちらほらいました
【授業内容】
・毎週そこそこの量のリーディングが課され、ドラフトや最終版の提出が毎週課される。主に格差や貧困問題を扱い、最終的に5ページ程度のポリシーメモを書き上げる(基本的には個人作業)
【講師】
・ナンシーというBerkeley卒の女性。両腕タトゥーで威圧感が半端ないが、ほんとは生徒思いのやさしい教授。人は見かけで判断してはダメですね
(アメリカ人に「アメリカ人の教授がみんな刺青してるわけじゃない。彼女は例外だからこの国を誤解しないでくれ!」と真顔で諭される)
【感想】
・個人的にはすごく役に立った授業。宿題などで問われたタスクが秋学期からは各授業でも問われるので、いい事前練習になった
・もともとロジカルシンキングなどはコンサルでの基本スキルであるので、Writtingでの論点設定などは楽観視していたが、自分になじみのないテーマに対し、英語でいろいろ考えていくのはかなり骨が折れる。。かつアメリカの制度を知らないとそもそも内容がつかめない部分もあり、非ネイティブにはなかなかつらいものが。。
・当然と言えば当然なのだが、きちんと論点を設定し、そこから論点を分解し、考えるべき&検証すべきポイントを整理するという一連の流れは今後も徹底。かつ早い段階で全体の枠組みをクラスメートとディスカッションしたり、教授とディスカッションするのが品質向上&手戻り防止にも非常に有効であることを再確認(ここらへんはまさに「Quick&Dirty」※1と同じですね。)
・個人的なこととしては、相変わらず文法ミスなどが多いので、基礎的なWritting Skillの底上げは何としてもしたいところ

■まとめ
いろいろ思うところはあるが、環境に慣れる&ネットーワークをつくるという点では非常に有意義。全部のPrepを取る必要は必ずしもないと思うが、いくつか取ってはやめにサンディエゴでの生活を開始するのが個人的にはおすすめですね

※1 いきなり100点を目指すのではなく、80点のものでもいいから早くだして、それをレビューしてもらって、また考えて、、、というサイクルを高速で回し、結果的に短期間でより品質の高い成果物を目指すこと。入社したてのころは口酸っぱく言われました。。


2014年9月14日日曜日

TOEFLをいっぱい受けたこと

TOEFL。北米の大学院を受けるにあたり多くの人が受験せねばならない英語のテストである。(IELTSで行けるところも結構あるけどね。北米の公共政策ではTOEICだけで行けるところは知っている限りではない)

リーディング、リスニング、スピーキング、ライティングの4パート、各パート30点満点のトータル120点満点のテストである。北米の名だたる公共政策大学院の足切ラインは100点であることが多い。※事実SIPAからは「100点ないと選考プロセスにのらないのでよろしくね!」という親切なメールが届いた。ただIR/PSは例外的に低くて、90点なくても大丈夫と書いてあるのだが、合格者の平均は100点越えているらしい。

大学院受験のプロセスは、①TOEFLor IELTS)②GMAT/GRE、③レジュメ、④エッセイ、⑤推薦状、⑥インタビュー(公共政策大学院では実施有無は大学による。IR/PSはありました。)で構成されるのだが、個人的に一番厳しかったのがこのTOEFL。悪魔のごとく私の心と体とそしてお金を蝕んでいきました。初回の77点から始まり、100点オーバーまでに計22回受験。1回仕事で受けられなくなったことがあるため、申し込みは23回。Abenomicsによる円安の影響をもろに受け、$1100円としても、$230×23回=*25千円としても、$5,290。つまり約53万近くを受験料に費やしたことになる。まさに「あの金で何が買えたか」である。※1 かつ出願直前まで点数がそろわないと、精神衛生上も厳しいものがある。また社会人受験者にとって平日は仕事前か仕事終わりしかまとまった勉強時間をとれないのも大きなハードルである。マーフィーの法則ではないが、勉強が佳境の時こそ仕事は忙しくなる。。

このTOEFLという試験は実によくできていて、「迷った時は全部C選んだら10点上がったぜ!」ということは残念ながらほぼない。リスニングが上がればリーディングが下がるなど、うまーくできているのです。なので、90点代前半が続くとか、なかなか100を超えないという、TOEFL被害者が続出するのである。事実、私も出願直前に3連続で97点を取ってしまい、もはや笑うしかなかった。。

逆にいうと自分の実力が反映されやすい試験でもあり、きちんと対策をすればおのずと(時間がかかるかもしれないが)結果がでるテストでもある。また100点を超えれば、大半の公共政策大学院にはある程度の自信をもって出願ができる。しかしながらTOEICに比べ、参考書などの絶対数が少なく、かつ高額である。私自身22回受験するにあたり、やみくもにやっていたわけではなく、かなり多くのTOEFL関連の本やブログを拝読し、ベストプラクティスを収集してきた。(100点越えるまで時間はかかったが。。)というわけで、次回以降何回かにわけてそれらのエッセンスを抽出した各パートの勉強法を紹介したい。


1 あの「ななつ星」にも余裕で乗れますね。(34日コース 21室ひとりあたり約39万〜)

2014年9月13日土曜日

IR/PSとは?

国際関係・環太平洋研究大学院(IR/PS: School of International Relations and Pacific Studies 以下IR/PS。それにしても長い名前である※1)はアメリカで唯一、環太平洋地域(アジアと南北アメリカ) にスポットをあてたプログラムを実施。Dean曰く、「今日、専門家として成功を収めるには、世界的な視野が求められており、経営学、公共政策および国際交流がいかに企業の戦略的意思決定に影響するかを充分に理解する必要があります。IR/PSは、そのような理解を高めるために様々なコースを提供している」とのこと。
事実、国際関係に注力しすぎることなく、ビジネス、公共政策、地域研究がバランスよく配置されたプログラムであるように思う。尚、Foreign Policyによれば国際関係分野では世界7位とのこと。

コースは私が通う2年制のMPIA(Master of Pacific International Affairs)とエグゼクティブコースとしての1年制MAS-IA(Master of Advanced Studies in International Affairs)と学士と修士がセットになった5年制(学士3年、修士2年)のBA/MIA(Bachelor of Arts in International Studies and Master of International Affairs)の3つで構成される。以下断りのない限り、MPIAについての記述になる

カリキュラムは①必修+②トラック+③地域の3つで構成されており、約120名近くが学ぶ。(公共政策大学院としては小〜中規模)カリキュラムの具体的な構成は以下の通り。


  1. 必修
    • Globalization
    • Quantitative Methods
    • Policy Making Processes
    • International Politics & Security
    • Economics (Managerial & International)
    • Accounting & Finance
    • Language ※地域に応じて
    • Capstone Courses ※どれか一つ
      • Strategy and Negotiations
      • Policy Responses to Global Problems
      • Evaluating Technological Problems
  1. トラック
    • International Economics
    • International Management
    • International Politics
    • Public Policy
    • International Environmental Policy
    • International Development & Nonprofit Management
  2. 地域
    • China
    • Japan
    • Korea
    • Latin America
    • Southeast Asia

とここまでが教科書的なお話。UCSD自体が1960年と新しいこともあって、このIR/PSは1987年設立と公共政策大学院の中ではかなり新しい方。1987年という数字でピンとこられた方もいるかもしれないが、そう日本がバブル真っ盛りの中で設立されたのが、本大学院なのである。※2 当時、今後のアメリカの最大のライバルになりそうな不気味な日本をちゃんと研究せねば!ということでIR/PSができたとかできないとか。悲しいかなその後の「失われた20年」でアメリカの大多数の興味は中国へとシフトしたわけだが、今でも立派な日本研究が行われている全米で数少ない大学院なのです。(西海岸だとUCSD、東海岸だとColombiaくらいでしょうかね。)


※1 来年からGlobal Policy and Strategy (GPS)になるとのこと。覚えやすくてなんかかっこいいぞ!
※2 どうも1987年に初めて「バブル」という言葉が出てきたらしい

ブログを開設にあたって

このブログはこれから始まる2年間のカリフォルニア大学サンディエゴ校(以下UCSD)国際関係・環太平洋研究大学院(以下IR/PS)での2年間の記録である。

ブログを始める理由はいろいろあるのだが、いわゆる「公共政策大学院※1」というものを世の中の多くの方に知って頂きたいというところが大きい。
というのも、この「公共政策大学院」に関する情報がMBAに比べてほんとうに少ないんですよ。。 (MBAでググると 25,500,000件、一方の公共政策大学院は約417,000件一方で、大学時代や社会人時代の中で一定数の人が「いつかは公共政策大学院に留学したい」と言っていたのも事実。そんな人にとって、「公共政策大学院」はどんなところで、何を学ぶのか?といったことが少しでも伝わり、また「公共政策大学院」の合格者が少しでも増えることに繋がるブログになれば幸いである。

※1` この「公共政策大学院」というのがまた厄介で、大学院によってはその名の通り公共政策に強みを置くコースもあれば、国際政治、国際政治経済、開発、環境・・・と扱う分野は様々である。「『公共政策大学院』とは何か?」というテーマについては、別の機会に譲ることとする。代表的な大学を挙げればきりがないが、まずはIR/PSやコロンビア大学のSIPA (School of International Public Affairs) 、UCバークレーのGSPP (Goldman school of Public Policy) 、ハーバード大学のHKS (Harvard Kenedy School)をイメージしていただければと。